検察庁法改正案の内容を問題点と共に簡単にわかりやすく解説!
#検察庁法改正案に抗議しますとは???
Twitterで「#検察庁法改正案に抗議します」やこれに関連するツイートが話題をよび、日々報道されています。
検察庁法改正案とは何でしょうか? 何が問題なのでしょうか? なぜこれだけ抗議され、署名活動が500万件以上おも集まっている理由はなぜでしょうか?
検察庁法改正案の内容を問題点と共に簡単にわかりやすく解説していきます。
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「#検察庁法改正案に抗議します」有名人のツイート
まず、「#検察庁法改正案に抗議します」の相関図はこれ↓↓↓です。(詳しい解説は後ほど)
小泉今日子さんが、西郷輝彦さんが、きゃりーぱみゅぱみゅさんが、多くの芸能人の皆さんが検察庁法改正案に反対し始めた。世界が新型コロナウィルス感染で大変な時に、不要不急の法案を無理やり通す必要ありますか?#検察庁法改正案に抗議します pic.twitter.com/99Qe9zDzaS
— すずしろの国のレオン (@leon_c1) May 10, 2020
つづいて有名人から多く上がっているツイートをご紹介します。
このコロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どうみても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です。#検察庁法改正案に抗議します
— 宮本亞門 公式 (@amonmiyamoto) May 9, 2020
— 浅野忠信 ASANO TADANOBU (@asano_tadanobu) May 9, 2020
— 秋元才加 SAYAKA AKIMOTO (@akimotooo726) May 9, 2020
どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題で、根本のルールを揺るがしかねないアクションだと感じています。#検察庁法改正案に抗議します
— 水野良樹 (@mizunoyoshiki) May 9, 2020
https://twitter.com/U_and_YOU/status/1259312187367018496?s=20
なぜ、この話題がトレンド入りし、騒がれれているのでしょうか?
私はツイートしている方の多くは、この法律の中身やこれまでの経緯をきちんと知らない人が便乗しているんだと思っています。
検察庁法改正案の内容を簡単にわかりやすく解説していきますね。
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検察庁法改正案の内容を簡単にわかりやすく解説
#安倍政権 が「閣議決定」で法律の解釈を変え、検察ナンバー2の定年を延長したことが批判を集めています。
いったいなぜ「前例のない裏技の人事」とまで言われるのか。その問題点とは、どこにあるのか。改めて振り返りました。#みんなのWHY#安倍首相#安倍総理#検察#定年延長 pic.twitter.com/j42Q199Ap7
— TBS NEWS (@tbs_news) March 3, 2020
「政権に忖度する検察官を、定年制度をゆがめてまで検事総長にしようとしている。」「三権分立の破壊だ。」
私の正直な感想は、事の本質はともかく、何か危ないことをしようとしているという「イメージ」だけがネットで拡散しているなといったところです。
この理由についてできるだけシンプルにまとめていきます。
法案で何をしようとしているか
まず、そもそも今回の法案で何をしようとしているか。
それは、国家公務員の「定年の延長」です。
民間でも、定年が65歳まで、あるいは70歳までと延長できるようになってきていますが、国家公務員は「60歳」が定年(省庁のトップである事務次官は62歳)です。
今回の法律で、民間並みにこの定年を伸ばし、国家公務員も「65歳定年」にしようというのが、今回の法律です。
しかし、検察官には「国家公務員法」ではなく、「検察庁法」という別の法律があります。
これは、戦前には検察が裁判所に付置されていたことに由来しており、戦後の昭和22年の「検察庁法」が制定されて、ようやく現在の形となりました。
この「検察庁法」によって、検察官の定年を「63歳」(検事総長は65歳)と定めています。
昭和56年に、国家公務員の定年が定められますが、その際に検察官の定年の根拠は「検察庁法」のままでした。
今回の法律では、検察官も他の国家公務員も定年を「65歳」としてあわせることになりますが、そのためには「国家公務員法」、「検察庁法」の両方を改正する必要があります。
この法改正の内容は、今年に入ってから急に出てきた話ではありません。
2年近く前の平成30年8月、人事院の「意見の申出」で示された方針でした。
黒川氏の定年が話題にのぼる、はるか前からの議論でした。
三権分立
「時に総理をも逮捕できる検察を、自由に任命できるようにするなんてありえない!」「三権分立の破壊行為だ!」とのご意見があります。
私は、この意見は誤っていると思います。
理由は、もともと検事総長の任命権は「内閣」にあるからです。
ましてや、「三権分立」と結びつけるのは、ちょっと無理のある議論だと思います。
検察は「行政機関」です。
司法でも立法でもなく、行政組織です。
よって、検事長以上の任命を「内閣」が、それ以外の検察官を法務大臣が行うのは、もともと法律に定められたことです。
ちなみに、「三権分立」をしているはずの「司法」ですら、最高裁長官を指名するのは「内閣」で、最高裁判事も「内閣」が任命します。
なぜかといえば、「三権分立」の趣旨は、「司法」「行政」「立法」がお互いに関与して、チェック・アンド・バランスを効かせるところにあります。
あえて言えば、「司法」に対してすら「内閣」は人事に関与しています。
ですから、行政機関である検察の人事に対して、「内閣」が人事を行うのに、大きな問題があるとは思えません。
「検察官の公正性はどうやって確保しているんだ」、との疑問があるかもしれません。
検察官は他の行政機関とは異なり、総理をも逮捕できるという唯一の公訴提起機関という点であって、その職務には公正さが求められます。
だからこそ、一般の行政官にはない身分保障があります。
検察官の身分保障とは、本人の意思に反して「解任されない」ということです。
検察の公正さとは、「任命」のところではなく、「解任されない」ところで保つという仕組みになっているわけです。
解釈変更について
「勤務延長制度」という制度があります。
本当は定年の年齢になったけど、ある仕事の途中であって、ここでやめると「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」には、「一年を超えない範囲」で任命権者が延長させることができる制度です。
再度必要なら、あらためて延長できますが、それでも最長3年間までとなっています。
この制度は今回の法改正の前から、すでに国家公務員法で規定されているもので、実際に各省庁の局長級や次官級に、たまに適用されている条文です。
ここで、「解釈の変更」という話がでてきます。
ある国会での質疑において、議員が「国家公務員法の定年60歳や、勤務延長制度というのは検察に適用されるのか?」と政府をただしました。
これに対して政府は、「両方とも適用されない」と答弁しました。
というのは、戦前からの経緯があり、検察の定年は「60歳」ではなく「検察庁法」に定める「63歳」であったこと。
あとからできた「国家公務員法」には、定年制に加えて「勤務延長制度」を組み込んでいますが、検察官の定年は別の「検察庁法」が根拠だったので「勤務延長制度」の定めもなかったこと。
これらが、「両方とも適用されない」と答弁した理由ですが、当時、もしかすると国家公務員よりも定年がすでに3年長かったので、定年後も仕事を続けられる「勤務延長制度」については、深く考えないで良かったのかもしれません。
しかし、状況がかわります。
「年金接続」という問題が出てきました。
公務員の共済年金と厚生年金が一元化され、公務員の年金の支給開始年齢も、会社員と同様に徐々に引き上げられています。
最終的には支給開始は「65歳」からとなりますが、その途上にある現在では、支給開始年齢は「64歳」です。
今回の法案が成立して施行され、検察官の定年も「65歳」となれば問題ありません。
しかし、現在の検察官の定年は「63歳」です。
つまり、64歳までの一年間、仕事もなく年金もないという状況が発生することとなります。
しかも、他の国家公務員では認められている「勤務延長制度」も「適用されない」こととなっています。
今回、定年を「65歳」に合わせるのであれば、「勤務延長制度」も他の国家公務員同様、適用させることにしたらよいではないか、法務省はそう考えたわけです。
そこで、この「65歳」に定年延長する法案の提出を前提に、1月17日、法務省は内閣法制局や人事院と協議を始めます。
その結果、検察官にも「勤務延長制度」を認めるよう「解釈変更」がなされ、1月31日に閣議決定されました。
つまり、解釈変更の発端は、あくまで「年金接続問題」にありました。
Twitterのツイートとのズレ
検察官に「勤務延長制度」が適用されるとなったとき、その最初の事例が黒川氏でした。
定年の時期を考えると、タイミング的には仕方がなかったのかもしれませんが、これが彼のための制度ではないかとの疑惑をうむ結果となりました。
本来なら定年のはずが、法解釈をまげて定年を延長し、「政権に都合の良い」黒川氏を検事総長にすえる。
安倍総理・内閣が、黒川氏を検事総長に任命したいのかどうかは、私は知りません。
しかし説明した通り、「内閣」は検事総長の任命はでできますが、解任はできません。
したがって、現職の検事総長である稲田氏がやめない限り、あるいは定年に達しない限りは、黒川氏が検事総長になることはありません。
現職の稲田氏が定年に達するのは、来年2021年8月13日です。
稲田氏が定年まで頑張ろうと決意されれば、黒川氏の「勤務延長」の閣議決定は、少なくともあと2回(最長1年のため)は必要です。
合理的に考えれば、これだけ注目されているなかで、同氏の定年を「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由がある」として、2回も閣議決定することは、相当ハードルが高いと思います。
黒川氏が検事総長の最有力候補であったとしても、なれるかどうかは現職の稲田氏の決意次第なわけです。
よって、私は今回の法改正や解釈変更が、ある特別の意図をもってなされたとは、到底、思えません。
ですからは私は、「コロナで大変な時を狙って、火事場泥棒だ」との声は適当ではないと思います。
理由は、先ほども言いましたが、定年延長の議論は2年前からであり、法案の閣議決定を行ったのは今年の1月31日です。
そのころ、緊急事態宣言を含めて、日本がこのような状況になっているなんて誰も想像できなかったでしょう。
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検察庁法改正案の問題点を簡単にわかりやすく解説
今回の法改正について、まったく問題がなかったのかと言えば、そうとは思いません。
Twitterが炎上している理由も2通りあって一つは、これまで書いてきたように、本質を理解できていなくて、何やら内閣(安倍総理)けしからん!というもの、もう一つはこれから書くことがその理由だと考えています。
私自身は、今回の法改正そのものに問題があるとは思っていません。
むしろ、正しいプロセスで処理しようとしていると思います。
しかし、そうした疑義が出てきて炎上してしまうような状況になっているということ自体、政府や安倍総理の責任であると思っています。
「森友学園」や「加計学園」、「桜を見る会」など、さまざまな疑惑が折り重なってきたのはなぜか。
少なからず長期政権の「ゆるみ」「おごり」が招いたものだと思っています。
国政の中心にいる内閣や安倍総理がしていく、さまざまな意思決定は、余計な誤解を生まないように慎重にも慎重を期していただきたいと思います。
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まとめ
検察庁法改正案の内容を問題点と共に簡単にわかりやすく解説!というテーマでお伝えしてきました。
如何でしたでしょうか?
「こんな大変な時にコロナと関係がない法案審議をするのか?」という意見は理解できます。
コロナから命と暮らしを守ることが、今、最優先課題です。
しかし、我々の生活で解決すべき課題は、コロナだけではありません。
この国会で審議をしなければ、保険料が上がってしまうものや、4月から適用させる税制もあれば、障がい者のためのバリアフリー、あるいは研究力ランキングのトップ10から陥落した日本の科学技術力強化など、他にも待ったなしの課題はたくさんあります。
国民のためによりわかりやすく、より真摯な政治になることを期待しています。